The Onset Time of the Dynamic and Static Invisible Body Illusion

論⽂概要

これまでの研究で,ゴムの手には約23秒,全身には約5秒で身体所有感が生起することがわかっている。5分の運動学習で手足のみからなる透明身体に所有感が生じることがわかっているものの,必要最小限の学習時間や,最適な学習方法はわかっていない。本研究では,静的な観察と動的な運動で錯覚の生起時間を計測することで,透明身体の最適な学習方法及び学習時間を調べた。
 
 

特筆すべき研究成果

実験の結果,参加者の運動に同期した手足の運動の提示では6.93秒,静止観察では4.67秒で透明身体に所有感が生起した。また,静止観察のみでも身体所有感は生起した。これらの結果から,透明身体錯覚の誘発には能動的な運動と静止観察の両方が有効であることが示唆された。
 

今後の展望・応⽤+社会実装の可能性

今後,透明身体と全身を比較することで,提示する身体部位と生起時間の関係を明らかにしていく。これによって,身体所有感の生起メカニズムの解明に貢献できる。本研究を発展させることで,今後サイバースペース等におけるアバタの使用において,どの程度の時間でアバタが自分の身体として感じられるのかが明らかとなり,アバタを自分の身体として獲得するための最適な学習方法を社会に提供できるようになる。
 

主要成果論⽂

Ryota Kondo
Proceedings of IEEE VR 2021,  pp. 623-624, 2021.3
DOI:10.1109/VRW52623.2021.00194