Virtual Whiskers

論⽂概要

VR空間でユーザを誘導するために,空間の手掛かりは重要である.空間誘導では,視覚情報のほかに触覚情報を追加することで効果的にユーザを誘導できる.しかし,触覚刺激に対して敏感な頭部に触覚刺激を提示する装置は少ない.本研究では,VR環境において空間方向情報に対応した触覚刺激を頬に提示することで,空間誘導を行う手法を提案する.
実験では,頬への触覚刺激がどの程度空間誘導に有効かを検証した.
 
 

特筆すべき研究成果

HMDに取り付けたロボットアームを用いて,空間方向情報に対応した触覚刺激を頬に提示できるシステムを開発した.まず,ロボットアームの先端に取り付けた光センサを用いて頬の形状を計測・推定し,推定した頬の形状に基づいて空間方向情報に対応した位置を計算した.実験から,頬への触覚提示によって高い精度で方向誘導できると示した.また,ターゲット探索タスクを用いた空間誘導実験から,本手法が空間誘導に有効だと示した.

今後の展望・応⽤+社会実装の可能性

本手法は頬の形状を静的なものとして認識・刺激しているが,頬の形状は呼吸や発声などによって変形する.そのような動的な変化に対応するために,リアルタイムでの頬の形状計測とその形状に応じて高速・正確に刺激できるように触覚提示装置を改良することが今後の課題である.また,顔面触覚を用いたインタラクションの手法や,顔面を用いたインタラクションに伴う認知の変化についても検討していきたい.

主要成果論⽂

中村文彦, Adrien Verhulst, 櫻田国治, 福岡正彬, 杉本麻樹
日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.26, No. 4, p. 298-309, 2021.