畳み込みオートエンコーダを⽤いた並置混⾊錯視の知覚再現評価
論⽂概要
⼈間と同様に錯覚する学習システムの構築を⽬標とし,特に本研究では,特定のタスクを学習した機械学習システムの出⼒と,⼈間の錯視知覚に関する⼼理物理データを定量的に⽐較することを試みた.並置混⾊錯視を扱った実験結果から,未学習の輝度に関する錯視が,学習に⽤いたタスクの特性に応じて異なる知覚を⽰すことが観察された.さらに,学習の進⾏によって学習モデルの知覚特性が連続的に変化することが⽰唆された.
特筆すべき研究成果
視野⾓や輝度の対応づけを⾏うことで,⼼理物理実験のデータと機械学習システムの出⼒の定量的な⽐較を可能とした.さらに,⼊⼒画像にブラーを付加するような学習を⾏った学習機が⼈間と類似の知覚を⽰すことが⽰唆された.今後,パラメータやネットワーク構造の精査が必要であるが,輝度に関する錯視が単純な構造を持つ機械学習モデルで再現できる可能性を⽰す基盤的な研究として重要な成果だと考える.
今後の展望・応⽤+社会実装の可能性
⼈間と同様に錯覚する機械学習システムを作ることで,不必要な錯覚を克服できる環境情報の改善や,⼈間が気づかない重要な知覚情報への気づきを与えるシステム構築への応⽤が期待できる.今後は,機械学習システムの出⼒と⼈間の知覚情報をどのように⽐較するかという問題の精査や,⼈間が気づかない質感や運動の違いを気づかせるサポートが可能なシステム開発などに取り組んでいきたい.
主要成果論⽂
久保⽥祐貴,稲⾒昌彦 第25回⽇本バーチャルリアリティ学会⼤会論⽂集, 1C2-4, 2020.9.