Health education VR

論⽂概要

⼈体の仕組みを学ぶことをエンターテインメントにして,学習効果を上げるために,消化器官を匍匐前進で這い回り,⾃分が⾷物となり,消化されながら視触聴覚で体験するシステムを構築した。匍匐前進は,シート上の圧⼒センサで計測・推定し,視覚刺激は3D モデリングを⾏いレンダリングした映像を頭部搭載型ディスプレイに提⽰した。また,移動する際に消化器官の特性の違いに応じた振動を胴体および⼤腿部に提⽰した。
 
 

特筆すべき研究成果

100 名以上の体験者に能動的で主体的な消化器官の体験コンテンツを提供することができた。「実際に内臓の中を移動しているような感じがして楽しかった」という感想が多数得られた。また,「本システムを通して⾝体構造に対して興味,関⼼を持った」,「消化器官以外の内臓も体験してみたい」,「⾷べられる時や排泄される時のフィードバックがあると⾯⽩そう」という意⾒もあり,学習意欲向上に貢献する可能性が⽰唆された。

今後の展望・応⽤+社会実装の可能性

「蠕動運動の動きも正確に再現していて学習コンテンツとして使えそう」,「腸内フローラなど細かい部分を再現すると,より学習に適したコンテンツになりそう」という精緻さを評価し,さらなる精緻さを求める意⾒がある⼀⽅で,「実際の内臓よりもデフォルメされているので抵抗が少なく感じた」という意⾒もあった。個⼈の興味や知識レベルに応じてモデルや感覚刺激の精緻さのバランスを取ることが必要であろう。ただし,学習効果の検証については今後の課題である。

主要成果論⽂

Ueda, S., Fujisawa, S., Ikei, Y. and Kitazaki, M. Lecture Notes in Computer Science, 12184, 407-416, 2020-10 DOI: 10.1007/978-3-030-50020-7_29.