ThermoBlinds

論文概要

ThermoBlindsは,非接触でありながら高速な温度変化を人へ感じさせるという特徴をもつ,温度提示手法である.我々はこの手法を用いて身体を拡張する種々の応用を示し,温度感覚を通した非接触メディア体験・コミュニケーションをどのように変容させることができるか考察した.
 
 

特筆すべき研究成果

赤外線源と回転するブラインド状の遮蔽機構を用いた非接触かつ高速な温度提示手法を実現し,それを用いた身体拡張の応用を示した.具体的には,画像・映像鑑賞者が「目を向けた対象・箇所」に応じた温度をリアルタイムで感じる「視覚と温度感覚の融合」や,遠隔コミュニケーションにおいて自分の視線を熱として相手に感じさせる「熱視線 (視線の拡張)」を実装・考察した.本研究はMIMSVAI 2021 Best Paper Awardを受賞した.
 

今後の展望・応用+社会実装の可能性

娯楽施設における視聴覚メディア体験への「視覚と温度感覚の融合」による高解像度な温度体験の導入が考えられる.装置の小型化が進めば,温度メディア体験や,視線の拡張による親密な遠隔コミュニケーションを個人が導入できる.また提案手法の発展として,高解像度化や複数化,または反射機構の導入により,特定方向からの提示による空間性を有した温度体験を実現できる可能性がある.
 
Sosuke Ichihashi, Arata Horie, Masaharu Hirose, Zendai Kashino, Shigeo Yoshida, Sohei Wakisaka, Masahiko Inami
Special Interest Group on Computer Graphics and Interactive Techniques Conference Emerging Technologies (SIGGRAPH ’22 Emerging Technologies), August 07-11, 2022. ACM, New York, NY, USA, 2 pages.