Social contingency modulates the perceived distance between self and other

論⽂概要

⾃分の⾏動に対して他者が反応することを社会的随伴性と⾔う。それはたまたま偶然にタイミングがあって⽣じる場合もあるが,実際に相⼿に対する反応であることもある。社会的随伴性は,愛着の形成や強化,社会的認知の発達に重要とされている。この社会的随伴性が⾃分と相⼿との空間的距離に及ぼす効果を調べた。その結果,社会的随伴性は⾃分と相⼿との物理的な距離を縮めることが明らかとなった。

特筆すべき研究成果

⾏為主体感(sense of agency)と連動した相⼿の⾏動(ボタンを押すと笑顔になる)が,⾃分と相⼿の間の距離を知覚的にも近く感じさせることを,残像を⽤いた⾏動計測で⽰した。つまり,社会的随伴性が⼈と⼈の間の距離の知覚を低次な⽔準で変化させる最初の発⾒である。

今後の展望・応⽤+社会実装の可能性

⼈は他者とコミュニケーションをとるときに,相⼿との関係や状況に応じて適切な距離をとる。それは親密な相⼿には近距離になりがちであり,COVID-19 感染状況下においても社会的距離をとることを困難にさせる。本研究成果を応⽤することにより他者をより近くに感じることが出来れば,相⼿との距離は⾃然と離れることになり,感染防⽌に貢献する可能性がある。

主要成果論⽂

上⽥祥代, 吉⽥成朗, 渡邊淳司, 池⽥まさみ, 茅原拓朗, 北崎充晃 ⽇本バーチャルリアリティ学会論⽂誌, 24(1), 3-12, 2019-03 DOI: https://doi.org/10.18974/tvrsj.24.1_3.