Cyborgs, Human Augmentation, Cybernetics, and JIZAI Body
論文概要
本論文では、人間拡張システム開発者が参照すべき設計指針・哲学として、自在化身体(JIZAI Body)のコンセプトを提唱した。自在化身体は、デジタル・デバイドを伴う今日の情報社会を経て、誰もが各々に活躍できる「超スマート社会」を担う基盤理論である。自在化状態にある人は、単に身体能力が増強されるのみならず、物理空間とサイバースペースの両方で、生身の身体と拡張された身体を(同時に)制御(または制御を誰かに委任)できる。これらの理論的枠組みに加え、これまでに開発された自在化を体現する事例と自在化身体が普及した「自在化社会」における日常経験を展望した。
特筆すべき研究成果
Honorable Mention受賞。日本語で一般書として出版された『自在化身体論』を基盤に、世界中の人間拡張工学研究者が集うAugmented Humans Conferenceにおいて自在化身体の学術的意義と応用可能性を論じた初の学術論文である。査読付国際会議論文として評価されたことに加え、学会賞を受賞したことにより、自在化身体プロジェクトの意義を世界的に印象づける成果となった。
今後の展望・応用+社会実装の可能性
本論文内では、プロジェクト開始当初から提唱してきた「5つの自在化状態」を「5 key aspects」として再定義し、自在化身体を体現するシステムが複数aspects を兼ね備える可能性について言及した。また論文後半で例示した自在化社会における具体的なシナリオについては、今後、ERATO最終年度の課題としてその妥当性や実現可能性を検証する。
Masahiko Inami, Daisuke Uriu, Zendai Kashino, Shigeo Yoshida, Hiroto Saito, Azumi Maekawa, and Michiteru Kitazaki.In Augmented Humans 2022 (AHs 2022). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 230–242.