MultiSoma
論⽂概要
バーチャル環境の複数のアバタと感覚と運動を同期することにより分身を実現した条件において,複数の身体に対して身体所有感・行為主体感が生じるのかについて,検証を行なった.実験では,アタバの身体を1体・2体・4体に変化させて,ランダムに発生する目標に対する能動的な条件での到達運動と,飛来する目標に対する受動的な条件での到達運動を実施することで,タスク性能と身体認知の両者の検証をおこなった.
特筆すべき研究成果
タスクパ性能の評価では,複数の身体を用いることによって,少ない実環境の身体の運動で到達運動を実施できることが確認された.一方で,複数の身体への認知負荷の影響からタスク完了時間は長くなり,複数の身体を自在に使いこなすためには十分な訓練が必要とされることが示唆された.また,主観評価に基づく身体認知として,同時に複数の身体に対する一定の身体所有感・行為主体感が生じることが確認された.
今後の展望・応⽤+社会実装の可能性
複数の身体を制御することは身体の自在化において,個人の能力を超えた身体の操作を実現できる可能性があるため,多様な応用が考えられる.今後は,こうした分身した身体の操作を,バーチャル環境のみでは無く,実環境においても実装するや,操作する対象を操作者の意図に合わせて定める手法についても視野にいれた研究の実施を行ないたい.
主要成果論⽂
Reiji Miura, Shunichi Kasahara, Michiteru Kitazaki, Adrien Verhulst, Masahiko Inami, and Maki Sugimoto
In Augmented Humans Conference 2021 (AHs'21), 2021.2
DOI: https://doi.org/10.1145/3458709.3458878