X-Wing
論⽂概要
VR環境における没入感を高めるために触覚技術を導入する試みが数多く行われている.本研究では,頭部装着型ディスプレイ(HMD)に取り付けたダクテッドファンを用いた力覚フィードバックデバイスX-Wingを提案する.HMDに取り付けた4個のダクテッドファンの駆動によって,提示する力の強さと方向を制御できるシステムを構築した.本システムを用いて,ユーザの頭部に並進力と回転力を提示するアプリケーションを開発した.
特筆すべき研究成果
本研究では,4個のダクテッドファンの出力を個別に制御することで,頭部に対して多様な方向と力の強さを提示できる手法を開発した.また,VR環境での衝撃を頭部に与える衝撃の方向と力を各ダクテッドファンの出力を変換し,その出力に合わせてファンの出力を制御することで,フライトシミュレーションにおけるVR体験の質を改善することをデモンストレーションした.
今後の展望・応⽤+社会実装の可能性
本システムでは,VR環境から信号を送りダクテッドファンによる力の提示までに約500msの遅延が存在する.この遅延はリアルタイムでのインタラクティブな力覚提示を行う上で課題となる.また,ダクテッドファンから発される騒音は大きいので,ユーザの体験を阻害する可能性がある.そのため,騒音を抑えた上で,遅延を減らすようなダクテッドファンの制御方法を検討していきたい.
主要成果論⽂
Koki Watanabe, Fumihiko Nakamura, Kuniharu Sakurada, Theophilus Teo, Maki Sugimoto
SA’21 XR: SIGGRAPH Asia 2021 XR, Article No. 19, p. 1-2, 2021.