遠隔葬儀参列⽀援実践

論⽂概要

「会場には⾏けないが、弟の葬儀に参列したい。」本稿では、ある葬儀において筆者らが全⽅位映像や⾳声情報を記録・中継した際に、実際に葬家・遺族から寄せられた要望を報告する。葬儀中継そのものに真新しさはなく、すでに商⽤サービスも存在する。COVID-19 パンデミックを契機にその需要が⾼まった。今後は単なる中継の枠を超え、バーチャルリアリティ関連技術が求められる可能性もある。「VR 葬儀」には何が期待されるのかを展望する。
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特筆すべき研究成果

葬儀の現場で360度双⽅向遠隔中継システムExLeapとスマートフォン上で稼働させたZoomを併⽤したケーススタディ。テレプレゼンス・テレイグジスタンス技術、あるいはバーチャルリアリティ関連技術を実社会のコンテキストで応⽤する際の諸課題を⽰唆した。本システムはコロナ関係追加⽀援課題にも関連し、コロナ禍での葬儀の会葬者減少問題対策への応⽤に関する知⾒を得るとともに、いかに360 度画⾓を持つ⽣中継映像にまるでその場に存在したかのような臨場感や没⼊感を持たせるのかという課題を浮き上がらせた。

今後の展望・応⽤+社会実装の可能性

360 度視覚のリアルタイム・双⽅向伝送は、動作や感覚を伝送する従来のテレイグジスタンス研究の流れとは⼀線を画する。今後普及が⾒込まれる5G ネットワーク下において、遠隔地にいる⼈の存在感を伝える技術として、また外出が制限される状況下におけるバーチャル旅⾏、街歩き、買物などといった経験を提供する。今回のような冠婚葬祭の場を含む、さまざまなシチュエーションでの応⽤が想定される。

主要成果論⽂

⽠⽣ ⼤輔、登嶋 健太、眞鍋 美祈、⽮崎 武瑠、船津 武志、泉原 厚史、檜⼭ 敦、稲⾒ 昌彦 第 25 回⽇本バーチャルリアリティ学会⼤会論⽂集(2020 年 9 ⽉) DOI: http://conference.vrsj.org/ac2020/program/doc/1A1-7_PR0081.pdf
Generating the Presence of Remote Mourners: a Case Study of Funeral Webcasting in Japan
Daisuke Uriu, Kenta Toshima, Minori Manabe, Takeru Yazaki, Atsushi Izumihara, Zendai Kashino, Atsushi Hiyama, Masahiko Inami. the 2021 ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'21), May 2021[conditionally accepted]