A New Mask for a New Normal

論文概要

マスクの着用と社会的距離の確保は、コロナ禍では既に日常となっている。しかし、これらは対面コミュニケーションにおけるフラストレーションの原因と見なされている。本研究では誰もがコロナ禍によるコミュニケーション阻害をAR機能を備えたマスクを使用することで克服している未来について構想を進めたものである。この未来像ついて推測を進めるためARマスクのプロトタイプを開発し、対人インタラクションへの影響を調査した。
 
 

特筆すべき研究成果

本研究では実験を通して開発したプロトタイプが社会的距離を確保した状態でのコミュニケーションを自然と実現することが確認できた。また、被験者とのインタビューからAR技術を一般的な標準装備にする際に対処しなければならない多くの技術的・倫理的懸念があることが明らかになった。本研究は先端技術を使い、コロナ禍での新たな日常をどのように作っていくかを議論するための種にもなった。
 

今後の展望・応用+社会実装の可能性

プロトタイプの更新による体験の質向上はもちろん、インタラクションの更新による物理的な近さに加えて心理的な近さも体験できるアップデートを検討。そのほか、ユーザーによる自ら体験の調整による個人差などの調査とプロトタイプと体験の更新の末、一般社会にてシステムの導入を試みる社会実験の可能性も検討。今後コロナ禍が続く世の中では本研究の成果に似たシステムの社会実装はいずれ行われると思われる。
 
 
Zendai Kashino, Daisuke Uriu, Ziyue Zhang, Shigeo Yoshida, and Masahiko Inami
Augmented Humans Conference 2022, Kashiwa, Chiba, Japan, Mar. 2022, p. 11.
DOI: https://www.doi.org/10.1145/3519391.3519409