Effects of Body Duplication and Split on Body Schema

論⽂概要

複数の身体に所有感が誘発されることが報告されているが,所有感が身体間で切り替わるのか,複数の身体に同時に生じるかは不明である。もし,複数の身体に同時に身体所有感が誘発されるのであれば,身体の数に対応してボディスキーマが拡張されることが予想される。そこで本研究では,身体を複製・分割したときのボディスキーマを測定することで,複数の身体で同時に所有感が誘発されるかどうか調べた。
 

特筆すべき研究成果

実験1では,横に並んだ2つのバーチャルボディが参加者の動きに同期して動くことで,ボディスキーマが拡張されるかどうかを調べた。実験2では,バーチャルボディを左右に分割した刺激を提示した。その結果,分裂した身体においてのみボディスキーマが拡張された。しかし,身体所有感がない条件でも変化したことから,分裂身体の見た目がボディスキーマに影響を与えただけであり,分裂した身体への所有感は同時に発生していないことが示唆された。また,アンケート結果からは,分裂身体が1つの身体として知覚されていた可能性が示唆された。
 

今後の展望・応⽤+社会実装の可能性

今後,複数身体への所有感が切り替わっているのか,同時に生じているのかをより詳細に調べることで,複数身体認知メカニズムを明らかにしていく。自分の身体を複数にできれば,複数人分のタスクやコミュニケーションが行えるだけでなく,全く別の場所に同時に行くことも可能となる。このように,複数身体の研究は社会のあり方を大きく変えるポテンシャルを秘めている。
 

主要成果論⽂

Ryota Kondo, Maki Sugimoto
Proceedings of Augmented Humans 2022,  pp. 320-322, 2022.3
DOI:10.1145/3519391.3524177