Peripersonal space in the front, rear, left and right directions for audio-tactile multisensory integration
論⽂概要
人にとって、すぐに起きるであろう脅威を示す感覚情報を身体近傍空間(PPS)で検出することが重要である。これまで、前後のPPSの比較や左右の比較が行われてきたが、本研究では、前後左右の4方向の身体近傍空間の特性を同時に計測した。実験では接近あるいは後退する音を課題とは関係の無い刺激として用い、実験参加者は,胸のバイブレーターに提示された触覚刺激を正確にできるだけ早く検出する課題を行った。
特筆すべき研究成果
実験の結果,音が接近する時には、どの方向の場合でも音の位置が身体に近い場合に遠い場合よりも素早く触覚刺激が検出された。ゆえに、実験参加者は身体の近くでは触覚刺激と聴覚刺激を統合していた。しかし、この多感覚促進効果は,後退する音では見られないか、弱くなった。つまり、触覚刺激の検出は、課題とは関係ない聴覚刺激が接近する時のみ全方向で促進されることが明らかになった。
今後の展望・応⽤+社会実装の可能性
聴覚情報は上下も含めた三次元空間で利用可能であり,脅威もまた三次元空間のいたるところから来る可能性がある。したがって,今後は三次元空間での身体近傍空間を調べることが期待される。
主要成果論⽂
Matsuda, Y., Sugimoto, M., Inami, M., and Kitazaki, M.
Scientific Reports
10.1038/s41598-021-90784-5