バーチャルリアリティソーシャルネットワークサービスVRChatにおける身体所有感実験環境の構築と検証
論⽂概要
新型コロナ感染症の蔓延により実験室での被験者実験を行うことが困難な状況である。各種オンライン実験環境は整備されてきたが、全身運動を伴う身体所有感実験を行う環境はない。そこで本研究では、VRソーシャルネットワークであるVRChatの中に実験室を開設し、基本的な身体所有感の実験が再現可能かを検討した。
![](https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/wraptas-prod/inami-erato/416c662c-56bc-44e2-88f2-8fe0413f7538/7c55662011675809d73cfe2516a9be1f.png)
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特筆すべき研究成果
被験者はVRChat内の実験Worldに入り,実験用アバターに着替えて実験に参加した。被験者の動きとアバターが同期する条件とアバターが1s遅れる非同期条件があった。球に対して5分間のリーチングを行い,身体所有感,行為主体感,擬似触覚に関する主観評価を行った。同期条件では非同期条件と比較して強い身体所有感,行為主体感,擬似触覚が得られ,従来の先行研究の結果を再現した。
今後の展望・応⽤+社会実装の可能性
公開VRソーシャルネットワーク内に研究者が実験室を開設することが可能であり,条件操作を行い,全身所有感の実験を実施可能なことが示唆された。遠隔地からも全身を用いた身体性実験を行うことが可能であり、時空を超えて研究できる可能性が示された。
主要成果論⽂
石本浩気,加藤優貴,北崎充晃
基礎心理学研究
10.14947/psychono.40.21